秋篠理数・算数教室の「さあさあ、お勉強だよ!」


高気圧酸素治療

教室で飼育していたドジョウが、夜中に水槽のすき間から外に飛び出してしまいました。

朝、見つけたときには息も絶え絶えの状態で、救命措置が急がれます。

手持ちの酸素を使って、高気圧酸素治療を試みることにしました。

高気圧酸素治療は、血行障害や潰瘍、スポーツ外傷の治療などに大きな効果があると言われています。

以前、教室の近くにある東京医科歯科大学附属病院で、実際に高気圧酸素治療をしていただいた経験があります。

このときの治療の流れは、治療着に着替えて高圧タンクに入ると、20分かけて2.5気圧まで加圧、そのまま1時間100%濃度の酸素を吸入し続け、その後25分かけて減圧し、終了です。準備を含めると、1回約2時間の治療になります。

この治療により、血液中の溶解型酸素濃度が通常のおよそ15倍に高まり、酸素不足に陥っている患部に十分な量の酸素を送り届けて、回復を早めることができます。

さて、本日の患者さんですが、水槽から飛び出してしまったため、皮膚が乾燥し、ちょうど火傷を負ったような状態になって衰弱していたと思われます。かわいそうなので急ぎましょう。

まずペットボトルにバルブを取り付け、感染症予防の治療薬を溶かした水をボトルに半分程度入れ、この中にドジョウに入ってもらいます。

次に酸素80:窒素20の混合気を作り、2.5気圧でペットボトルに加圧注入しました。100%の酸素にせず、窒素を加えたのはペットボトルの劣化を防ぐためです。

治療開始時、ドジョウは水に浮かび、わずかに口を動かしているものの、泳ぐ力はありません。このまま、高気圧の状態を保ち続けることにします。

治療開始から2日後、ようやく泳ぐ力をとりもどし、ペットボトルの底に居られるようになりました。

良かった良かった、快気祝い!

そう思ったところ、ドジョウは唐突に死んでしまいました。

やはり長時間の乾燥によるダメージは大きかったのでしょう。

人の目には元気に見える動物が、突然の死を迎えることがままあります。動物は、死の直前まで全力で生き抜き、持っている生命力を使い果たしてしまうのかもしれません。