秋篠理数・算数教室の「さあさあ、お勉強だよ!」


カタクリ  (スプリング・エフェメラル1)

春、ようやく雪も消えたころ、明るい広葉樹の森の中で、群生するカタクリをみつけました。

春に、ほんの一瞬だけ姿を見せて、はかなく消えてゆく美しい草花たちをスプリング・エフェメラルと呼びます。エフェメラルとは、はかない命という意味で、カタクリはその代表的な草花です。

カタクリのつぼみは、朝日を浴びると開花し始め、時間とともに花弁を大きく後ろに反りかえらせ、天気が良ければ朝11時くらいには、完全に開花します。

カタクリのつぼみ

朝9時くらいのようす

昼ごろには、花弁が完全に反りかえりました。

それから2週間後、ふたたび森を訪れてみると、すっかり花はなくなり、一面緑の草におおわれてしまっていました。それでも独特な斑(ふ)の入ったカタクリの葉は、たやすく見つけることができます。カタクリたちは大きな実をつけていました。この実のなかの種子は、やがてアリに運ばれて、生育の範囲を広げていくのです。

初夏、広葉樹が葉をおい繁らせ、林床がうす暗くなると、地上に出ている葉の部分は枯れてしまい、カタクリは来春までの長い休眠に入ります。

カタクリの群落には、白い花のキクザキイチゲが混じることがあります。紫と白のコントラストがすばらしいですね。キクザキイチゲもまたスプリング・エフェメラルの仲間なのです。

カタクリは東京近辺では、千葉県柏市の逆井(さかさい)運動場の近くに群生地があり、柏市で保護しています。ここは3月下旬が見頃になります。

ところで、下の写真はなんだと思いますか?

これは、カタクリの花と葉を乾燥させたもので、古くからある「かたくり干し」と呼ばれる保存食品です。カタクリといえば、かつてはその根(鱗茎)から片栗粉を採取したと言われていますが、花と葉も、おひたしやきんぴらにして食べることができます。写真のかたくり干しは、山形県で販売されていたものです。

カタクリは都市部や観光地でこそ保護の対象になっていますが、山へ行けば、まだまだあちこちにたくさんの群生する姿を見つけることができます。山の自然を大切にするとともに、こんな食文化も大切にしたいですね。

(4月 福島県会津地方)

 

 

 

 

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