前回のポイントは、計算ミスはなくすことはできないので、減らすようにしよう、ということでした。
では、どうすれば計算ミスを減らすことができるのでしょうか。
みなさんは、練習不足だ!ていねいに計算しろ!集中しろ!がんばれ!などと言われたことはありませんか。素直で良い子ほど、たくさん計算練習して、書き方が雑になり、疲れて集中力を失い、もう十分にがんばっているのにがんばれと言われてやる気を失ってしまったのではないでしょうか。もちろん、ミスは減るどころか増える一方です。
昔から計算にはこのような根性論・精神論がまかり通っていました。当然ながら根性論・精神論でミスは減らせません。どんなものにも、原因があるのです。あたりまえですが、計算ミスにも原因があるのです。なので、原因をみつけて対策をたてれば、確実にミスは減っていきます。
計算ミスの原因は、人それぞれ千差万別なので、その対策も人それぞれに合わせたものが必要になります。ここでは、それらのうち「たしざんのミス」について原因と対策を見ていくことにしましょう。
たしざんのミス
これは 15+18=33 を 32 あるいは 23 と答えてしまうミスです。
いかにも小学生(中学受験生)にありがちなミスですが、意外にも中高一貫校に通っているようなレベルの高い中高校生にも多くみられるミスなのです。
32と答えた原因は、 5+8=13 が、しっかりと記憶されていないからです。みなさんは、かけざん九九はしっかり記憶していますよね。たとえば、「ろっくごじゅうし」のように…。 かけざん九九はできるけれど、 5+8 の計算を、実は毎回考えて答えてはいませんか。考えた結果 5+8=12 としてしまったのです。みなさんは、もちろんすぐに暗算できるし、くりあげの理屈もちゃんとわかっているので 、それで良しと思ってはいないでしょうか。たとえ正しく考えていても、考えているからこそミスが出てしまうのです。みなさん、かけざん九九は考えずに言えるし、ミスもしませんよね。たしざんもかけざん九九と同じなのです。
32とミスしたときの対策は、かけざん九九と同様に、 5+8=13 を考えずに反射的に答えられるようにすることです。具体策は次回にお話ししましょう。
次の23と答えた原因は、くりあがりをあいまいにしているからです。十の位にくりあがる1を頭の中において次の計算をしたために、疲れていたり、一瞬気が散ったりしたときに、その1が抜け落ちてしまうのです。
23とミスしたときの対策は、 5+8=13 のくりあがりの1を必ず筆算のなかに、あるいは式のなかに小さく書きこむ習慣をつけることです。