新緑のブナの森を歩いていると、若葉が細長く巻かれているのを
見つけました。
ブナの柔らかな若葉が丸一枚、円柱状にしっかりと巻かれています。
あたりを見回すと、…
いました。
ゴマダラオトシブミです。
この体長8mmの小さな昆虫は、葉を半分に折って丸め、中に
卵を産みます。やがて孵化した幼虫は中の葉を食べて育ちます。
これはオトシブミの揺籃(ようらん)と呼ばれるものでした。
揺籃とはゆりかごのことです。
オトシブミの種類によっては揺籃を切り落とすものもいます。
地面に落とされた葉の巻物が、昔の落とし文に似ているので
この名前が付けられたということです。
ところで、落とし文とは何なのでしょう。昔の手紙が紙を丸めた
ものだったのはわかりますが、なぜ落としたのでしょうか。
これは、はっきりとは言いにくい事や秘密の事などを書いた
匿名の手紙をわざと他人に拾わせるために落としたのだそうです。
あるいは恋文を、思いを寄せる人の通り道に落としておいたとも
言われています。こちらはもちろん匿名ではなかったでしょうし、
相手も誰の恋文とわかったうえで拾ったのかもしれませんね。
中高生のみなさんが学校の下駄箱に手紙を入れるような感じ
でしょうか。(いまどきありえない?)
でも、こんな名前を昆虫に付けるとはおしゃれですね。