深夜、新潟の山道を車で走っているとたくさんの生き物に出会いました。
車をとめて近づいてみると…
ヒキガエルでした。
道路に流れる水のなかを一所懸命にあるいています。
そのさきをみると…
道路わきには、ちいさな泉があり、カエルたちが卵を産んでいました。
5月とはいえ、ここは標高800メートルの山の中です。気温は低く、水に手をひたしてみると、まるで氷のような冷たさでした。
道路に広がるカエルたちはこのちいさな泉をめざしてまわりの森から集まってきたのです。
でも、この広い山のなかで、どうしてここに、しかも今日という日に集まることができるのでしょうか。1日ずれてもなかまには会えないのです。
ケータイで連絡しあっているのでしょうか。
こうしてたくさんのヒキガエルが一か所に集まって産卵することを、昔の人は蛙合戦と
呼びました。カワズガッセン、つまりカエルの戦争ということですね。
東京近郊では、3月の下旬、ちょうど春休みが始まるころ、カエルたちは
冬眠から目覚めて田んぼに集まって産卵します。朝早く、まだ薄暗いころ田んぼにいくと、バシャバシャとカエルたちのはねる音がきこえるかもしれません。
ふりかえると、泉にむかってやってくるカップルがいました。
上の黄色いほうがオス、下の茶色いほうがメスです。
みかけは交尾しているようですが、カエルは体外受精なので交尾とは言わず抱接といいます。
明け方、産卵を終えると森に帰り、再び冬眠状態にはいります。
山はまだ寒く、えさも十分ではありませんから。
「さようなら、また来年ここで会いましょう、さようなら」