秋篠理数・算数教室の「さあさあ、お勉強だよ!」


クワガタムシ

子供たちはもちろん、パパにも大人気のクワガタムシです。

まずは、ミヤマクワガタ。

大きさによって姿かたちが大きく変化しているのがわかりますね。

 

個体ごとに頭と胸の大きさ(幅)を比べてみてください。左の大型個体は頭が胸より大きく、となりの中型個体では頭と胸がほぼ同じくらい、小型個体では頭が胸よりだいぶ小さくなっています。さらに大あごの内歯(ギザギザの部分)にも注目です。大あごの付け根に近い第一内歯は、大型個体では大きく発達していますが、中型小型では他の内歯とさほど変わりません。大型個体は、単に大きいという以上にカッコいい姿をしているのです。

右はさらに極小の個体です。大あごの内歯はほとんど消滅しています。また、小型個体は種類にかかわらず、大型個体よりも動きが活発で、撮影中もさかんに動き回って、じっとしてくれません。

次は、ノコギリクワガタです。

左を大歯型(長歯型)、右を原歯型(短歯型)と呼びますが、これだけ形がちがうともはや同じ種類とは思えません。

いったいなぜこんなに形が変わってしまうのでしょうか。

大きさのちがいは、おもに幼虫時代のえさの量、栄養状態によるものといわれており、これはおおむね正しいようです。幼虫を飼育することによってほぼ証明されています。

問題は小さくなると、なぜ頭と大あごが極端に小さく縮んでしまうのか、ということです。大型個体とおなじバランスで小さくなってもよいのではないでしょうか。あるいは小型個体の形で60mmを超える大型の個体がいても良いようにも思えますが、そんな個体は存在していません。

一説によれば、大型個体は樹液での争いに勝つために頭と大あごを発達させ、小型個体は争いをさけて遠くに飛んで移動しやすいように頭と大あごを小さく軽くしたのだと言われています。小型個体は、少しでも自分の子孫(DNA)を残すために身軽に移動してチャンスを増やそうという作戦です。

これは、かなり説得力のある説で、個人的には正しいように思っていますが、残念ながらきちんとした証明がなされているわけではなく、あくまでも推測の域を出ていません。しかもこの説だと、もっとも数の多い中型個体は、争いには負けるし遠くにも行かれないという踏んだり蹴ったりで気の毒ですね。

最後にお待ちかね、オオクワガタです。

大あごの形、特に内歯の位置に注目してください。左から、大歯型、中歯型、小歯型とよばれる個体です。それぞれ67mm、57mm、36mmです。10mmちがうだけで段違いの迫力ですね。

近年、幼虫から育てることで80mmを超える個体が生み出されていると聞きますが、自然環境では60mmを超えたら十分大きいといえます。反対に、36mmは小さいという意味でむしろ貴重な個体と言えそうです。

(8月、山形県、福島県にて採集)

 

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