夜、森の奥からコノハズクがやってきました。
コノハズクは大きさが20cmくらいのちいさなフクロウのなかまです。
ここ数年、この場所で6月から7月にかけて、同じ個体と思われるコノハズクを観察しています。
はじめて出会った年は10mほど離れて、こちらをうかがっているだけでしたが、
次の年は5mくらいに近づき、いまでは2m近くにまで寄ってきます。
私のことを憶えてくれているのかもしれません。
そうだとうれしいですね。
夜10時、明かりをつけてじっと待っていると、音もなく不意に現れます。
フクロウのなかまは羽音をたてずに飛ぶことができるのです。
どうやら明かりに来る昆虫が目当てのようです。
さかんに首を回してあたりを見ています。
何かみつけたようです。
視線の先をみてください。大きなガが羽をばたばたさせています。
この直後、コノハズクはかるく羽ばたいてガに飛びかかり、さらに足でおさえたガを
口に咥え直して飛び立ち、近くの木の枝にとまりました。
食事は、ゆっくり木の上でするようです。
この夜は、こんな狩りを10回くらいもしたでしょうか。
深夜1時、おなかがいっぱいになったコノハズクは森の奥に帰っていきました。
コノハズクは、東北地方では夏の間だけみられる夏鳥として知られています。
この個体は決まって7月の下旬には姿を見せなくなります。
この森は昆虫が豊富なので、えさが足りなくて移動したとは思えません。
巣作りのために移動したのでしょうか。
もしそうなら、来年は子供をつれておいで。
コノハズクの生態は、まだまだ謎が多いようです。
(福島県会津地方 標高600m)