4月中旬、標高800メートルの林道には、まだ雪が残っていました。
林道の脇に、黄色いフクジュソウの花をみつけました。
フクジュソウは、雪解けと同時に花を咲かせるため、春の訪れを祝福する花ということで、福寿草と呼ばれるようになりました。フクジュソウもまた、スプリング・エフェメラルのなかまなのです。
下の左側の写真は朝7時ころのフクジュソウで、花はまだ閉じています。右側は8時ころ、日光が当たって徐々に開き始めました。
この後、さらに1時間くらいすると完全に開花します。
開花した花の形をみてください。お碗のような形にみえませんか。
ちょうどパラボラアンテナが宇宙からの電波を反射させて、その中心部に集めているように、フクジュソウの花は、花弁をお椀の形に開くことで、太陽の熱を反射させて、花の中心部に集めているのです。春の虫たちは、この温かい花に誘われてやって来るのだそうです。最も寒い時期に咲く花ならではの高度なしくみですね。
昼過ぎ、観察を終えて林道を下っていくと、思いがけないプレゼントが待っていました。なんとフクジュソウとカタクリの混生する群落に出会ったのです。…これはすごい!
フクジュソウは残雪のなかに咲き、雪が融け切るころ花が終わって、次にカタクリのシーズンを迎えます。同時に、しかも同じ場所で咲くことは、きわめて稀なことなのです。
(福島県会津地方)