5月下旬、標高1000メートルほどの山道を歩いていると、小さな湿原をみつけました。
降りてみると、一面にミズバショウが咲いています。
上の写真、右下の水面に注目してください。なにやら油のようなものが、水面を流れていますね。
すわ環境破壊! 不法投棄! 誰かがラーメンのおつゆを捨てた⁉
いえいえ、みなさん安心してください。これは自然現象なのです。
ここのように、枯れ草がほとんど分解されずに堆積した泥炭質の湿地では、泥炭からの鉄分などが薄い皮膜となって水面に浮かび、あたかも油のように見えるのだそうです。とはいえ、この現象については、まだ詳しくは分かっていないようです。
白い花びらに見えるものは、じつは花びらではなく、苞(ほう)とよばれる葉の変形したものです。苞の中央に見える柱状の部分に、たくさんの黄緑色の粒が見えますが、その一粒一粒が本当の花になります。
ミズバショウというと尾瀬が有名ですが、高層湿原に限らず、山の湖畔、穏やかな渓流などに行くと見つけることができます。
季節は、ようやく木々が芽吹きはじめるころを目安にしてはいかがでしょうか。