キョキョキョキョキョキョキョキョッ
日が沈んであたりが暗くなり始めたころ、かん高く機関銃を連射しているような鳴き声が聞こえたら、それはヨタカにちがいありません。
2週間前、この場所で鳴き声を聞いたので、今日はテントを用意して、じっくり観察です。
渓谷にテントを張って暗くなるまでひと休み。テントの奥をくだるとすぐに河原です。今夜はこの河原でヨタカを待ちましょう。
夕暮れ時、ヨタカの声が聞こえましたが、姿は確認できません。
明かりをともして待ちました…
夜9時すぎ、ついにヨタカがやってきました。
河原にうずくまる姿は、図鑑でみた絵にそっくりです。
ヨタカは好奇心の強い鳥です。以前、別の場所でキャンプをしていたときランタンの明かりめがけて急降下してきて、驚いたことがあります。ヨタカの大きさはだいたいハトくらいですが、翼をひろげるとハトより大きく迫力があります。そのとき明かりを確認したヨタカは、すばやく身をひるがえすと急上昇して森に消えていったのを記憶しています。
今夜は、見慣れぬ明かりに興味をおぼえたのでしょうか。うずくまってあたりを見回すと、とことこ数メートル歩いてはうずくまるということを繰り返しています。
このときヨタカは一切鳴くことなく、やがて空高く舞い上がり姿を消しました。
(福島県 7月)