8月の終わり、林道を歩いていると、下を流れる小川にいくつものイワナの魚影をみかけました。
腰を落としてそっと近づいたのですが、イワナたちはあっという間に逃げ散ってしまいました。イワナはとても用心深い魚なのです。しばらく待って、もういちど覗いてみましょう。
この小川は、右の写真の奥に見える小さな滝がもとになって、左の写真の林道の下をくぐり抜けて渓谷の本流につながっています。
そして、林道をくぐり抜けたこの場所にイワナたちは群れていたのです。
私の姿に驚いたイワナたちは、林道下のトンネル部分(つまり、今この写真をとっている私の真下)に逃げ込んでいるのです。
小川をさらに100mほど下るとこの本流につながります。イワナたちは本流の激しい流れをさけて、ゆるやかな小川へ入り込み、からだを休めていたのです。
さて、30分ほどもたったでしょうか。こんどは慎重にゆっくりと近づいていきましょう。戻っているかな…
こっ、これは大きい! 40cmほどもあるでしょうか。
釣り師の言う尺上(しゃくがみ、30cm以上)の大イワナです。驚いて見入っていると、徐々にイワナの数が増えてきました。
写真に写っているだけでも10匹。さらに下流に3匹のイワナが泳いでいました。さすがに大物は、この1匹だけでしたが、この大イワナの胸ビレをみてください。桁ちがいのサイズであることが納得できると思います。
一般にイワナの寿命は5~6年といわれています。えさの豊富な湖で育つイワナは体長が60cmを超えることもありますが、渓流はえさが少ないことに加えて、流れに対する運動量が多いため大きくても30cm程度にしか成長できません。
ということは、この大イワナにとって、この秋はたぶん最後の秋になるのではないでしょうか。イワナの産卵期は秋です。たくさんの子孫を残せるといいですね。